訪問看護がきついと言われるのはなぜ?辞める理由や向いている人の特徴を解説

2025/11/19

訪問看護は、利用者の自宅に看護師が出向いてケアを行う働き方です。 病院のようなサポート体制が整っていない中で、一人で判断し対応する場面も多く、身体的にも精神的にも「きつい」と感じるケースが少なくありません。

とはいえ、こんな不安や悩みを抱えていませんか?

  • なぜ訪問看護はこんなにきついと言われるのか?
  • 実際に辞めた人はどんな理由で離職したのか?
  • 自分は本当に訪問看護に向いているのか不安
  • 精神科や施設系の訪問はさらに大変なの?
  • もし合わなかったら、次はどんな働き方がある?

この記事では、訪問看護がきついと感じる代表的な理由を整理し、辞める人のリアルな声、向いている人と向いていない人の特徴、精神科や施設内の現場での課題、そして合わなかった場合の選択肢までをわかりやすく解説します。

訪問看護がきついと感じる主な理由とその実態

訪問看護がきついと感じる主な理由とその実態

訪問看護の仕事は、一見すると自由度が高くやりがいのある働き方に見えます。 しかし、実際には多くの看護師が「続けるのがつらい」「病棟よりも大変」と感じることも少なくありません。 訪問看護において特に大きな負担になりやすい4つの要素に分けて、それぞれの理由を詳しく見ていきます。

身体的な負担

訪問看護では、体力的な負担が大きくなる場面が多くあります。 移動が多く、1日を通して自転車や車で何件もの家庭をまわることが基本となるため、天候や気温の影響を受けやすいです。

  • 猛暑や寒冷など天候による体力消耗
  • 段差や狭い空間で無理な体勢を強いられる
  • ベッド移乗やオムツ交換などを一人で対応
  • 腰痛や膝の痛みなど慢性不調のリスク

こうした負担が積み重なることで、訪問看護を続けることに限界を感じる人も少なくありません。 身体への負担を軽減するには、自身の体調管理だけでなく、事業所側の訪問件数調整や福祉用具の導入など、組織全体での対策が必要です。

精神的な負担

訪問看護師が精神的に追い詰められる理由のひとつは、「すべてを自分で判断しなければならない」という孤独感です。 病院と違ってチームでのサポートがすぐに得られないため、目の前の異常にどう対応するか、誰に報告するかを一人で決める場面が頻繁にあります。

  • 急変対応を一人で判断しなければならない緊張感
  • 患者本人だけでなく家族の不安や感情にも対応
  • 理不尽なクレームや感情的な言動への対応
  • 感情を抑え続けることでバーンアウトのリスク

精神的な余裕を保つには、定期的なカンファレンスや相談できる環境が不可欠です。 一人で抱え込まずに話せる関係を築くことで、訪問看護を長く続けやすくなります。

オンコールや夜間対応の実態

訪問看護におけるオンコール制度は、精神的にも生活面でも大きな負担になりやすい業務のひとつです。 オンコールとは、勤務時間外に利用者からの緊急連絡を受け付ける当番のことで、多くの事業所で月に数回の頻度で担当します。

日中の業務に加えて夜間や休日も緊張感を持ちながら待機する必要があり、睡眠の質が下がることもあります。 電話対応だけで済む場合もあれば、緊急訪問を求められることもあり、予定が立てづらくなるのが実情です。

オンコールの頻度や手当、対応体制は事業所ごとに差があるため、就職前の確認が非常に重要です。

訪問看護の危険性と安全リスク

訪問看護では、看護師が単独で利用者宅へ向かうため、さまざまなリスクに直面することがあります。 不審者や外的トラブル、自宅内での暴力的な対応、衛生環境が悪い家庭など、予期せぬリスクも多いです。

リスクの種類 具体的な例 対策
外的トラブル 訪問中の道迷いや不審者からの声かけ 事前にルート確認・GPS端末の活用
家庭内の危険 暴力的な利用者や家族への対応 同行訪問や危険時のマニュアル整備
衛生環境の悪さ ゴミ屋敷や不衛生な居住環境 福祉サービスや行政との連携
精神科特有のリスク 感情の起伏が激しい利用者対応 情報共有・チームでのケース検討

安全が担保されてこそ、利用者へのケアも安定して提供できます。 そのため、安全管理の仕組みづくりは訪問看護において最優先事項といえます。

訪問看護がきつくて辞める理由と本音

訪問看護を選んだ当初は「自分らしく働ける」「やりがいがある」と感じていた方でも、現場での経験を重ねるうちに「もう続けられない」と思う場面が出てきます。 実際に離職につながりやすい理由や、表では語られにくい退職の本音、さらに「面接ではどう説明するべきか」といった転職活動時の注意点まで、リアルな声に基づいて整理します。

よくある退職理由のトップ3

訪問看護がきつくて辞める理由と本音

訪問看護を辞める理由として多く挙げられるのは、「業務の負担が大きい」「人間関係のストレスが強い」「家庭との両立が難しい」の3つです。

  • 訪問件数や記録業務が多く、拘束時間が長い
  • 少人数のチームで人間関係のストレスが強い
  • シフト調整が難しく、家庭や育児との両立が困難

これらの理由は表面的には業務改善で解消できそうに見えますが、根本的には制度や職場文化の課題であることも多く、転職を通じて環境を変える選択肢も視野に入れることが大切です。

人間関係やハラスメント事例

訪問看護における人間関係の悩みは、離職理由として非常に多く挙げられています。 とくに人数の少ない事業所では、上司との距離が近く、価値観の違いや指導方法への不満がストレートにストレスとなる傾向があります。

  • 報告のタイミングが遅いと繰り返し責められる
  • 同行訪問中に利用者の前で指摘される
  • 利用者や家族からの暴言・拒否的な言動
  • 相談しても「甘え」とされ改善が進まない職場文化

こうした問題が放置されやすい背景には、「人間関係で辞めるのは甘え」という文化が残っていることがあります。 安心して相談できる風土があるかどうかは、長く働ける職場を見極める重要なポイントです。

訪問看護が合わなかったケース

訪問看護が自分に合わなかったと感じる看護師も多く、その理由は必ずしもスキル不足に限りません。 むしろ、「一人で判断する責任の重さ」「生活空間に入ることへの負担」「相談できない不安」といった要素が強く求められる点が原因となります。

  • 技術は得意でも、利用者の生活空間に入ることがストレスになる
  • 誰にも相談できない状況が不安で疲弊する
  • 自分の判断に自信が持てず、プレッシャーに押しつぶされる
  • やりがいよりも精神的な負担が勝ってしまう

訪問看護は特殊な環境下での看護であり、誰にでも向いているわけではありません。 無理に続けるのではなく、自分が力を発揮できる環境にシフトすることもキャリアを守る重要な選択肢のひとつです。

訪問看護に向いている人ときついと感じやすい人特徴

訪問看護に向いている人ときついと感じやすい人特徴

訪問看護は、病院での看護とは異なるスキルや考え方が求められる働き方です。 「経験年数が長ければ向いている」という単純なものではなく、個々の性格や価値観、行動スタイルによって適性が分かれるケースもあります。 訪問看護に向いている人・向いていない人の特徴を具体的に示し、自分がどちらに当てはまるのかを判断する材料を提供します。

訪問看護に向いている人の特徴

訪問看護に向いているのは、「自分で考えて行動することが得意で、人と丁寧に関わる姿勢を持てる人」です。 訪問先では、常に誰かがそばにいるわけではないため、目の前の状況を見て判断し、臨機応変に対応できる力が求められます。

  • 自主性があり、自ら判断して行動できる
  • 利用者や家族と1対1で信頼関係を築ける
  • 生活背景をくみ取る感受性が高い
  • 予測外の出来事にも冷静に対応できる精神的安定性

このような特徴を持つ人は、訪問先での信頼構築や判断がスムーズになり、訪問看護ならではのやりがいを感じやすくなります。

訪問看護に向いていない人の特徴

訪問看護に向いていないのは、「一人で判断することに強い不安がある人」や「他人との距離感の調整が苦手な人」です。 在宅というプライベート空間に踏み込む訪問看護では、柔軟な判断力や対人スキルが欠かせません。

  • マニュアル通りの対応しかできず、想定外に弱い
  • 他者の感情に過度に振り回されてしまう
  • 孤独な環境や一人業務に強いストレスを感じる
  • 「訪問が怖い」「緊張で疲れる」と感じやすい

無理に適応しようとするより、自分に合った環境を見つけることが、結果的に看護師としての成長につながります。

訪問看護師に求められるスキルと適性

訪問看護師に求められるのは、「観察力」「判断力」「対人スキル」です。 在宅では限られた環境の中で、利用者の小さな変化を見逃さない観察力と、急変時に瞬時に対応する判断力が不可欠です。

必要なスキル 具体例 ポイント
観察力 呼吸・表情・声のトーンなどを五感で把握 機器やデータに頼れない環境で重要
判断力 急変時にどう対応するか瞬時に決定 マニュアル外の対応が求められる
対人スキル 医師・ケアマネ・家族との連携 専門用語を避け、分かりやすく説明

これらは完璧である必要はなく、働く中で徐々に伸ばしていける力です。 「向いているか不安」と感じても、学びながら強みに変えていく姿勢が重要です。

精神科と施設内の訪問看護が特にきつい理由と注意点

精神科と施設内の訪問看護が特にきつい理由と注意点

訪問看護の中でも、精神科や施設内を対象とした訪問には、一般的な在宅看護とは異なる特有の困難があります。 一見すると「家の中ではなく施設だから安心」「精神科は身体介助が少ないから楽」と思われがちですが、実際の現場では異なるストレスやリスクが存在します。 精神科・施設内訪問看護の現場で起こりやすい課題や、実態を知っておきたいポイントについて整理して紹介します。

精神科訪問看護のリスクと事件事例

精神科の訪問看護では、身体介助が少ない分、精神面でのケアやリスクマネジメントが重視されます。 利用者の中には、幻覚・妄想・強い不安を抱えている方や感情の起伏が激しい方もおり、暴言・暴力・拒絶といった行動が見られるケースもあります。

  • 突然の暴力行為に巻き込まれるリスク
  • 利用者家族とのトラブルや衝突
  • 服薬不良による症状悪化や急変対応
  • 一人訪問による予測不能な対応の負担

実際に、利用者や家族とのトラブルが「事件」として扱われるほど深刻化することもあります。 こうしたリスクを防ぐには、事前カンファレンスや訪問記録の共有、安全確認マニュアルの徹底が必要です。 また、経験豊富なスタッフの同行やバックアップ体制の有無を確認することも重要です。

精神科訪問看護でのハラスメントやトラブル

精神科訪問では、患者本人だけでなく家族からのハラスメントや過度な要求も多く発生します。 被害妄想が強い利用者から言いがかりを受けたり、性的な言動に直面することもあります。

  • 利用者や家族からの暴言・過度な要求
  • セクハラや不適切な身体接触
  • 「精神科だから仕方ない」と黙認されやすい環境
  • 相談しても対応されず、泣き寝入りするケース

こうした環境を避けるには、ハラスメント対応マニュアルや通報体制の整備がある事業所を選ぶことが重要です。 「個人の我慢」で対応するのではなく、組織が守ってくれる体制があるかどうかを見極めましょう。

施設内訪問看護と在宅訪問看護の違い

施設内訪問看護は、高齢者施設などに契約に基づいて訪問するスタイルで、身体的負担は軽減されやすい一方、別の難しさがあります。

特徴 施設内訪問看護 在宅訪問看護
環境 医療機器や介助用具が整っていることが多い 家庭環境によって設備やスペースに差がある
連携 施設スタッフとの調整が必要、板挟みリスクあり 医師・ケアマネ・家族との直接的な連携
業務内容 短時間処置が中心で関係構築が難しい 生活背景まで含めた長期的ケアが可能
ストレス要因 ルールや記録方法の違い、立場の理解不足 一人で判断・行動する責任の重さ

施設内訪問は効率的に見えても、「本来の看護ができていない」とジレンマを感じる人もいます。 自分の看護観に合うかどうかを見極めることが重要です。

精神科訪問看護は儲かる?実際の収益構造

精神科訪問看護は、訪問1回あたりの報酬が比較的高く、収益性が高いと注目されることがあります。 加算要件を満たせば、短時間でも効率的に収入が得られる仕組みです。

一方で、適切な記録や多職種連携がなければ加算は外れ、経営に打撃を与える可能性もあります。 また、精神科特有のリスク管理が不十分な事業所では、職員離職や利用者トラブルによって経営が不安定になることもあります。

「儲かるから精神科に参入する」のではなく、長く安全に働ける体制やケアの質を重視する視点が必要です。 収益性だけでなく、サポート体制や教育環境を含めて全体を見極めることが、キャリアを守る第一歩となります。

訪問看護がきつくて合わなかった時の選択肢と転職ルート

訪問看護はやりがいのある働き方である一方、身体的な負担や精神的な孤独、オンコールのストレス、職場の人間関係など、多くの看護師が「きつい」と感じやすい側面を持っています。 とくに精神科や施設内訪問看護では、一般的な在宅看護とは異なるリスクやジレンマが生じやすく、「自分には合わなかった」と悩む声も少なくありません。

もし現在、訪問看護の継続に迷いがあるなら、自分の適性や価値観を見つめ直すことが大切です。 転職や別の勤務形態も含めた選択肢を前向きに検討することで、新しい道が開けます。

無理に続けるよりも、自分らしく安心して働ける環境を見つけることが、看護師としてのキャリアを大切に育てていく第一歩になります。

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