看護師の転職先の選び方!病院以外で働ける職場と後悔しない選び方を解説

2025/10/17

看護師が病院以外で働ける主な転職先には、訪問看護ステーションや美容クリニック、企業の健康管理部門、検診センターなどがあります。

これらの職場は、夜勤のない勤務体系やデスクワーク中心の仕事も多く、身体的な負担を軽減しながら看護師資格を活かせる選択肢です。

病院以外への転職を考える人が知りたいのは、次のようなことではないでしょうか。

  • 病院以外でどんな職場があるの?
  • 年収はどのくらい下がるの?
  • 自分のライフステージに合った転職先は?
  • 転職活動はどう進めればいい?

本記事では、病院以外で働ける転職先を一覧で紹介し、それぞれの仕事内容や勤務条件、年収の傾向を整理して比較していきます。さらに、ライフステージ別の選び方や転職活動の流れについても丁寧に解説します。

看護師が病院以外に転職するには?

看護師が病院以外で働ける主な転職先には、健診センターや介護施設、美容クリニック、企業の健康管理部門などがあります。これらの職場は、夜勤のない勤務体系やデスクワーク中心の仕事も多く、身体的な負担を軽減しながら看護師資格を活かせる選択肢です。

病院以外への転職は難しい?

「病院以外って、未経験でも転職できるの?」「臨床経験が浅いと厳しい?」こうした不安を抱える方も多いでしょう。

結論から言うと、臨床経験2~3年あれば、病院以外への転職は十分可能です。実際、看護師の約32%が病院以外の職場で働いており、※約3人に1人という割合です。多くの看護師が転職に成功しているため、思っているよりハードルは高くありません。

※厚生労働省「令和4年衛生行政報告例」

看護師の三人に一人が病院以外
転職時の注意点
  • 臨床経験2年未満の場合は採用されにくい傾向がある
  • 夜勤手当がなくなるため、年収が50~100万円下がることが多い
  • 訪問看護など、1人で判断が求められる職場では3~5年の経験が必要な場合もある

病院以外への転職は、思っているほどハードルは高くありません。それでは、具体的にどんな転職先があるのか見ていきましょう。

看護師経験を活かす病院以外への転職先

看護師資格や医療知識を活かせる転職先を紹介します。これらの職場では、即戦力として評価されやすく、年収ダウンも比較的少なめです。

病院以外の転職先は、「働き方の希望」によって選ぶことができます。夜勤をなくしたい人、年収を維持したい人など、それぞれの希望に合った職場があります。

働き方の軸別の転職先

この章では、働き方の軸別に転職先を紹介していきます。

夜勤なし・土日休みで働ける転職先

夜勤の負担から解放され、規則正しい生活を送りたい方におすすめの転職先です。

職場 主な仕事内容・特徴
検診センター 問診・採血・測定などの定型業務が中心。
時間に追われにくく落ち着いた環境で働ける。
企業の産業看護師 従業員の健康相談や衛生管理を担当。
オフィス勤務で日勤中心の働き方。
保育園・幼稚園 園児の健康管理や応急処置を担当。
子どもと関わる仕事をしたい人に人気。
保健師 地域住民の健康相談や予防活動を担当。
公務員として安定。
養護教諭 学校で児童・生徒の健康管理を担当。
長期休暇があり子育てと両立しやすい。

夜勤なし・土日休みの職場は人気が高く、求人倍率が高い傾向があります。特に産業看護師や保健師は求人数が少ないため、転職には3~6ヶ月程度かかることもあります。

また、夜勤手当がなくなるため、年収は病院勤務より50~100万円程度下がるケースが多いです。ただし、時給換算では大きな差がないことも多く、夜勤による身体的負担や生活リズムの乱れがなくなることを考えれば、許容範囲と考える人も多いです。

年収を維持・アップできる転職先

年収を下げずに転職したい方におすすめの転職先です。

職場 主な仕事内容・特徴
美容クリニック 脱毛や注入など自費診療の補助やカウンセリング対応。
接遇力やサービス意識が評価されやすい。
訪問看護ステーション 利用者の自宅を訪問し、バイタル管理や医療的ケアを実施。
在宅医療の需要が高まっている。
治験コーディネーター(CRC) 新薬開発を支援する調整業務。
医療知識を活かしながら研究寄りの仕事。
臨床開発モニター(CRA) 治験の進行管理や医療機関への訪問・監査を実施。
製薬業界で高年収を目指せる。

年収を維持・アップできる職場は、夜勤手当がなくてもインセンティブや高い基本給で収入を確保できる点が特徴です。美容クリニックでは施術件数に応じたインセンティブ、訪問看護ではオンコール手当、CRA・CRCでは製薬業界水準の給与が期待できます。

ただし、美容クリニックは接遇マナーやノルマがあり、訪問看護は1人で判断する力が求められます。CRA・CRCは英語力や出張対応が必要なケースもあるため、自分のスキルや働き方に合っているか確認しましょう。

看護師経験を活かす転職がおすすめな理由

病院以外への転職を考える際、「看護師経験を活かす転職」と「活かさない転職」のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。

結論: 看護師経験を活かす転職がおすすめです。

その理由は以下の4つです。

  • 即戦力として評価される
    看護師としての基礎知識やスキルがあるため、未経験の職場でもスムーズに適応できます。採用面接でも「臨床経験○年」という実績が大きな強みになります。
  • 年収ダウンが少ない
    看護師経験を活かす転職なら、年収は50~100万円程度のダウンで済むことが多いです。一方、全く異なる職種に転職すると、年収が200~300万円台に下がるリスクがあります。
  • 看護師資格がもったいない
    看護師国家資格を取得するまでに、3~4年の勉強と実習を積んできたはずです。せっかく取得した資格を活かさないのは、非常にもったいないといえます。
  • スキルの積み上げができる
    看護師経験を活かす転職なら、これまでのスキルを土台に新しい専門性を積み上げられます。例えば、訪問看護で在宅医療のスキルを磨いたり、美容クリニックで美容医療の知識を身につけたりできます。
ただし、こんな人は「活かさない転職」もあり
  • 看護師の仕事が心身ともに限界で、医療から完全に離れたい
  • 全く新しいキャリアに挑戦したい明確な目標がある
  • 副業で稼ぎながら、ゆっくり次のキャリアを考えたい

このような場合は、一度看護師を離れて別の道を模索するのも選択肢の1つです。ただし、看護師資格は一生ものなので、いつでも戻れる安心感があることは覚えておきましょう。

看護師経験を活かさない病院以外への転職先

看護師資格や医療知識を直接使わない転職先もあります。ただし、全く新しいキャリアを築く場合でも、看護師として培ったコミュニケーション能力や観察力、責任感は他の職種でも評価されます。

活かさない転職を選ぶ場合でも、これまでの経験を活かせる職種を選ぶことで、採用されやすく、仕事にも馴染みやすくなります。

看護師経験を活かさない転職先の例と注意点

看護師資格を使わない主な転職先と、その仕事内容を紹介します。

職場 主な仕事内容・特徴
一般事務 書類作成、データ入力、電話対応、来客対応など。
デスクワーク中心で体力的な負担は少ない。
営業職 商品やサービスを顧客に提案し、契約を獲得。
コミュニケーション能力が活かせる。
カスタマーサポート 電話やチャットで顧客の問い合わせに対応。
傾聴力や共感力が活かせる。
ITエンジニア プログラミングスクールで学び、エンジニアに転職。
論理的思考力が求められる。

看護師経験を活かさない転職では、未経験からのスタートとなるため、年収が200~300万円台に下がる可能性が高いです。また、新しいスキルの習得に数ヶ月~1年以上かかることもあり、採用のハードルも高い傾向があります。

全く新しいキャリアに挑戦したい明確な目標がある場合を除き、まずは「看護師経験を活かす転職先」を検討することをおすすめします。看護師としての経験は、思っている以上に多くの職種で評価される強みです。

看護師経験を活かす転職先の平均年収一覧

病院以外で働く看護師の年収について、職種別に一覧で比較します。

病院勤務の看護師の平均年収は約508万円※ですが、夜勤手当が含まれているため、日勤のみの職場では年収が下がる傾向にあります。

以下、職種別の平均年収を表にまとめました。

職種 平均年収
CRA(臨床開発モニター) 450~650万円
訪問看護 420~520万円
美容クリニック 400~550万円
保健師 400~550万円
企業の産業看護師 400~500万円
検診センター 350~400万円
介護施設 350~420万円
治験コーディネーター(CRC) 350~500万円
養護教諭 350~500万円
デイサービス 330~400万円
保育園・幼稚園 320~400万円

※厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

※上記は目安であり、施設の規模・地域・経験年数によって異なります。

病院以外の職場で年収が下がる主な理由は、夜勤手当がなくなるためです。病院勤務の場合、夜勤1回あたり1~1.5万円の手当がつくことが多く、月4~5回の夜勤で月5万円前後の収入増になります。年間では60万円前後の差になるため、日勤のみの職場では年収が下がる傾向にあります。

ただし、時給換算では大きな差がないケースもあります。夜勤による身体的負担や生活リズムの乱れがなくなることを考えれば、年収ダウンは許容範囲と考える人も多いです。

看護師のライフステージ別の転職先の選び方

転職を考えるタイミングや優先したい条件は、年齢やライフステージによって大きく変化します。スキルアップを重視する20代、家庭との両立を求める30代、体力や将来設計を考える40代以降では、選ぶべき職場や働き方の基準が異なります。

この章では、年代ごとの悩みや目的に寄り添いながら、それぞれのフェーズで重視すべき転職先の選び方を具体的に解説します。

20代看護師の転職先はスキルの幅を広げる選び方がおすすめ

20代での転職は、将来の選択肢を広げるために最も柔軟な時期です。経験が浅くても新しい職場に適応しやすく、チャレンジできるフィールドが多いことが特徴です。

この年代では、臨床以外の現場に早くから飛び込み、自分の適性を見極めることが可能です。たとえば、美容医療や健診施設などは未経験からでもスタートしやすく、接遇やカウンセリングスキルを磨くことにもつながります。

また、治験コーディネーターや保育園看護師など、特定の分野に特化した職場に挑戦することで、専門的な知識や技術を早期に蓄積できます。業界を横断する経験を積むことで、自分の看護観やキャリア志向を深めやすくなるのもこの時期ならではのメリットです。

20代での転職は、失敗を恐れず柔軟に動けることが最大の強みです。この柔軟性を活かし、自分の興味関心に合う分野に積極的に足を踏み出すことで、中長期的に納得のいくキャリア形成につなげることができます。

30代看護師の転職先はライフイベントと両立できる選び方がおすすめ

30代は、結婚・出産・子育てなどのライフイベントが重なる時期であり、仕事と家庭のバランスを取れる職場選びが重要になります。勤務時間や勤務形態の柔軟性が、自分だけでなく家族の生活にも大きな影響を与えるからです。

この年代では、夜勤のない日勤常勤の職場や、時短勤務に対応した法人を選ぶことで、長く働き続けやすくなります。健診センターや産業看護師のような企業内の仕事は、日祝休みや土日休みの求人が多く、保育園の送迎や家庭行事との両立がしやすい環境といえます。

また、美容クリニックや訪問看護でもシフトに融通が利く職場があり、働く曜日や時間帯を選びやすい点が魅力です。仕事のやりがいと生活の安定を両立するためには、仕事内容だけでなく、職場文化や制度の柔軟性にも注目する必要があります。

30代の転職では、「今の生活」と「これからの働き方」の両方に目を向けて選ぶことが大切です。長く安心して働ける環境を整えることが、結果的にキャリア継続にもプラスに働く選択になります。

40代以降の看護師の転職先は体力・収入バランスを考えた選び方がおすすめ

40代以降の転職では、体力的な負担を避けつつ、安定した収入を確保できる職場を選ぶことが重要になります。これまでの経験を活かしつつ、無理なく働ける環境へのシフトチェンジが求められる時期です。

この年代では、看護師としての知識や判断力が強みになる一方で、夜勤や長時間勤務が身体的に厳しく感じる場面も増えてきます。産業看護師や医務室勤務のように、日勤のみで定時退勤が可能な職場は、生活リズムを保ちながら安定して働ける選択肢です。

また、保険会社や医療機器関連企業での内勤業務も、体力に頼らない働き方として注目されています。一方で、介護施設や訪問看護のように、経験値をそのまま活かせる現場も多く、リーダーや教育担当としての役割を求められることもあります。

40代以降の転職では、何を維持し、何を変えるのかを整理することが大切です。今後のキャリアと生活の両方を見据えた選択を行うことで、納得感のある働き方が実現できます。

看護師の病院以外への転職活動の流れと成功させるポイント

病院以外への転職活動は、基本的な流れを押さえておけばスムーズに進められます。この章では、転職活動の全体像と、成功させるための5つのポイントを解説します。

転職活動の基本的な流れ

転職活動は、以下の5つのステップで進みます。

看護師の転職ステップ
STEP
自己分析

まずは自分の転職理由や希望条件を明確にしましょう。

  • なぜ転職するのか?(転職理由の明確化)
  • 何を優先するのか?(年収・ワークライフバランス・スキルアップなど)
  • どんな働き方がしたいのか?(夜勤の有無・勤務地・雇用形態など)

転職の目的が曖昧だと、転職先選びに失敗するリスクが高まります。自分の希望条件を整理することが転職成功の第一歩です。

STEP
情報収集

転職サイトや転職エージェントに登録し、興味のある職場の求人をチェックしましょう。

  • 転職サイト・転職エージェントに登録
  • 興味のある職場の求人をチェック
  • 職場見学や説明会に参加

転職エージェントを活用すれば、自分では見つけられない非公開求人も紹介してもらえます。複数のエージェントに登録することで、選択肢が広がります。

STEP
応募・書類作成

履歴書・職務経歴書を作成し、応募します。

  • 履歴書・職務経歴書を作成
  • 志望動機は「なぜその職場で働きたいのか」を具体的に書く
  • 転職エージェントに添削してもらう

書類選考の通過率を上げるため、プロの添削を受けることをおすすめします。特に、職務経歴書では「どんな経験を積んできたか」「その経験を転職先でどう活かせるか」を具体的に書くことが重要です。

STEP
面接

書類選考を通過したら、面接に進みます。

  • 「なぜ転職したいのか」を論理的に説明
  • 看護師経験をどう活かせるかアピール
  • 逆質問で職場の雰囲気を確認

面接では、ネガティブな転職理由(人間関係が嫌だった)ではなく、ポジティブな理由(新しい分野に挑戦したい、より利用者に寄り添ったケアがしたい)を伝えましょう

また、逆質問で職場の雰囲気や働き方を確認することで、入社後のミスマッチを防げます。

STEP
内定・退職手続き

内定が出たら、条件交渉や退職手続きを進めます。

  • 内定後も条件交渉を諦めない(年収・勤務開始日など)
  • 現職の退職手続きを進める(退職の意思表示は2~3ヶ月前が目安)
  • 引き継ぎをしっかり行う

転職エージェントを通せば、エージェントが代わりに条件交渉してくれるため、自分で直接言いにくいことも伝えやすくなります。

転職活動は平均2~3ヶ月かかります。余裕を持ったスケジュールで進めましょう。

看護師資格を活かして自分らしく働ける職場を選ぼう

看護師の転職先は病院だけに限られず、健診センターや介護施設、美容クリニック、企業内の健康管理部門など、さまざまな場所でその専門性が求められています。特に、夜勤の負担や急性期対応から離れたいと考える人にとっては、病院以外の選択肢がキャリアの幅を広げる大きな一歩となります。

転職先を選ぶ際には、年齢やライフスタイル、家庭との両立など、自分の状況に合った働き方を見据えることが大切です。また、一般企業や在宅ワークといった新たな分野に挑戦する場合には、業界の特徴や求められるスキルを事前に理解し、丁寧に準備を進めることで、後悔のない転職が実現できます。

看護師資格を持つことは、医療現場にとどまらず多くの場で評価される「強み」です。自分がどのように働きたいかという視点を大切にしながら、安心してキャリアを築ける職場を選んでいきましょう。

転職活動は、看護師専門の転職エージェントを活用するのが最も効率的です。一般の転職サイトには掲載されていない「非公開求人」も多く、担当アドバイザーが希望条件に合った職場を紹介してくれます。履歴書の添削や面接対策、条件交渉まで完全無料でサポートしてくれるため、初めて病院以外に転職する方でも安心です。

おすすめの転職エージェントについては、別の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

あなたに最適な転職先は必ず見つかります。まずは転職エージェントに登録して、どんな求人があるか情報収集から始めてみましょう。登録は無料で、相談したからといって必ず転職する必要はありません。

「いい求人があれば」という温度感で、まずは一歩踏み出してみてください。

あなたが看護師資格を活かして、自分らしく働ける職場と出会えることを心から応援しています。

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